現代の世界中のサラブレッドは、父系の血統をたどっていくと、3頭の馬(バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアン、ダーレーアラビアン)にさかのぼることができます。 そして、この3頭の馬をサラブレッドの三大始祖(三大父祖)といいます。
現在のサラブレッドの9割以上が、この父系に属しています。ダーレーアラビアンは、推定1700年の生まれで、 オスマン=トルコにあったアレッポ(シリア北西部の都市)に駐在していたイギリス領事のトーマス・ダーレーが、アラブの族長から買ったといわれています。 1881年に誕生したセントサイモンが、ダーレーアラビアン系の血脈は拡大していくこととなりました。 また、20世紀のなかばに登場したネアルコは、ナスルーラやノーザンダンサーを通して爆発的な血統革命を巻き起こし、 近年では、日本の競馬史上に偉大な足跡を残したサンデーサイレンスをはじめ、ブライアンズタイム、 トニービンがこの血を受け継いでいます。
推定1724年の生まれで、北アフリカのバーバリー(エジプト以外の北アフリカ回教地域)が生地といわれていますが、その後モロッコ皇帝からフランスのルイ14世に献上されながら、 パリ市中で散水車をひく荷役をやっていたともいわれています。 ゴドルフィンアラビアン系は、3代目のマッチェムによって大きく発展しましたが主流となることはなく、現在では、マンノウォー系が孤軍奮闘しています。
推定1680年の生まれで、イギリスがトルコと戦争したとき、ロバート・バイアリー大尉が捕獲した馬だといわれています。 1758年に生まれたヘロドが種牡馬となって成功し、1780年にイギリスではじまったダービーの優勝馬が、このヘロドから数えて3代目のダイオメドでした。 また、アメリカ競馬史にその名を刻むレキシントンもバイアリーターク系の血を引いています。20世紀に入り、ザテトラーク、トウルビヨンが誕生しましたが、 大きく発展することはありませんでした。