地方競馬関係者インタビュー/ 福山競馬場・渡邊厩舎 渡邉 貞夫 調教師
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福山競馬場・渡邊厩舎/ 渡邉 貞夫 調教師
(1948年生まれ)
昭和43年より騎手となり、平成11年から調教師に。2008年から、3年連続で福山のリーディングトレーナー。
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馬の仕事を始めたきっかけ
益田競馬場が近くにあり、中学の頃などはよく厩舎に遊びに行ったりしていました。その時、厩舎の仕事を見様見真似で手伝ったりしているうちに、 馬の仕事がしたいと思うようになりました。
それから、高校に行き、一度は電気関係の会社に就職しましたが、やはり馬の仕事がしたいと思うようになり、 昭和43年に試験を受けて騎手になり、益田や福山で騎乗し、平成11年に調教師になりました。
馬の接し方と厩舎の方針
馬は可愛い動物です。馬に対して接する時は、自分の子どもに接するように接するよう指導しています。 馬が悪いことした怒らなければならないですが、長々怒っても恐怖心の強い馬にとって嫌な想いをさせてしまうだけなので、短く怒るように、 そして、可愛がる時には、目いっぱい可愛がるようにしています。馬に愛情持って接すれば、必ず帰ってきます。
調教は、個々の馬や状態を見て試行錯誤しています。馬は生き物であるだけに、これで絶対いいというものはないですが、 ある程度レースに備えてできることはしておきます。
後は、餌ですね。飼い食いの悪い馬には、一日分の分量を小分けにして何回もあげて、トータルで、他の馬と同じ分量を食べられるようにしています。
アングロアラブとサラブレッドの管理の違い
アングロアラブ(アラブ)とサラブレッドでは、多少管理の仕方が異なります。サラブレッドは、頭が良く、 だいたいのレース間隔を覚えるので、あまり強い調教しませんが、それに比べるとアラブの方が、強い調教を何回もします。相対的に、アラブのほうが丈夫ですね。
騎手の騎乗について
たとえ騎手が1着になっても、馬が強くて勝っただけで、乗り方が悪い場合もあります。逆に、負けてもレース展開で負けただけで、いい乗り方という場合もあります。 失敗した時に、反省して次に繋げることができる騎手ほど、上達していきますね。
何のスポーツでも攻撃があり守りがありますが、レースにおいてもそれがあります。例えば、思い切ってハナに立つと、 後続がついて来ないから楽に逃げられますが、中途半端にハナに立つと、相手もマークしてくるため、そこから引き離すには、二の脚を使うことになり、馬の体力が消耗します。 ハナに立った時には、たまに距離を離すなどして牽制し、後続馬にいかに脚を使わせるかが、戦法の一つとしてあります。
騎乗は頭脳戦でもあり、上手な騎手というのは展開を読み、瞬時の判断ができる騎手ですね。
競馬ファンでも、前のレースを記憶しておいて、展開を想定しながら見ると、レースが読めて、より競馬を楽しめると思います。