地方競馬場所属の名馬たち- コスモバルク号
コスモバルク(以下、バルク)は、地方競馬馬であるホッカイドウ競馬に所属しながら、2003年のラジオたんぱ杯2歳ステークス (現、ラジオNIKKEI杯2歳ステークス)、2004年の弥生賞、セントライト記念で、JRA重賞を3勝、皐月賞でも2着の成績を残したほか、 2006年のシンガポール航空インターナショナルカップ(国際G1)を制し、「道営の星」と呼ばれた。
一流とは言えない血統で、安値だったバルクが、地方所属で中央競馬に果敢に挑み、サンデーサイレンス産駒を始めとする良血馬を次々に負かしたことで、人気を集めた。
誕生
バルクは、北海道日高郡新ひだか町にある加野牧場で誕生した。父のザグレブは目立った産駒を出していなかった。また、バルクには3頭の兄がいたが、 活躍した馬はいなかった。
そのため、バルクは、400万円の安値で、岡田繁幸氏によって購入され、冠名のコスモに、並外れて巨大な形状や数量を表わす、 英語の名詞 「バルク(Bulk)」を付して、コスモバルクと命名された。
その後、2003年にホッカイドウ競馬がスタートさせた認定厩舎制度の適用第1号馬となり、 田部和則厩舎の所属となった。
※認定厩舎制度とは、調教を民間の施設で行い、レース当日に直接競馬場に入ることができるようにしたものである。
競走馬時代
2003年8月、バルクは、旭川競馬場で行われたフレッシュチャレンジでデビューし、2着となった。二戦目のアタックチャレンジで初勝利を飾り、 その後の2戦を1着・2着と善戦し、11月に東京競馬場で行われた500万下競走の百日草特別で、JRAでの初戦を迎えた。この時、バルクは目立った実績もなく、 11頭立ての9番人気(単勝オッズ65.2倍)だったが、1番人気単勝1.2倍に支持されていたハイアーゲームの追撃を押し切り、レコード勝ちという成績を収めた。
続くラジオたんぱ杯2歳ステークスでは、北海道から阪神競馬場までの長距離輸送が問題視されたが、1コーナー過ぎから逃げてレースを作り、重賞初制覇を飾った。
その後、3月の弥生賞に出走、勝利して重賞2勝目をあげ、皐月賞への優先出走権を獲得した。 皐月賞では、1番人気に推されたが、先行したダイワメジャーを捕らえきれず2着に敗れた。
しかし、セントライト記念では、2分10秒1の日本レコードで勝利し、 重賞3勝目をあげ、その後も、菊花賞4着、ジャパンカップ2着など、良績を収めた。
そして、その功績が称えられ、2000年に地方所属馬が受賞対象になって以来、初の特別敢闘賞を獲得したほか、地方競馬全国協会が主催したNARグランプリでも、 年度代表馬に加え、同年から新設された芝のレースで活躍した地方馬に贈る「最優秀ターフ馬」の第1号表彰馬に選ばれた。
さらに2006年には、シンガポール航空インターナショナルカップに出走し、勝利を収めた。セントライト記念以来、1年8ヶ月ぶりの勝利を悲願のGI初勝利で飾り、地方所属馬による、 史上初の海外G1と芝GIの制覇を達成した。
その後も、中央G1に挑戦を続けたが、6年連続での出走となった2009年のジャパンカップでは、終始後方のまま12着と惨敗し、続く有馬記念でも、10着に終わり、 海外への移籍することとなった。
引退
2010年3月に日本を出国し、アイルランドの児玉敬厩舎に移籍、レパーズタウン競馬場を本拠として、6月の準重賞を目標としていたが、出国前に、左後肢を剥離骨折したため、 移籍を断念し引退することとなり、門別競馬場で引退式が行われた。
引退後は、北海道新冠の明和牧場に移り、功労馬として余生を送っている。
血統
親 |
二代 |
三代 |
四代 |
父
ザグレブ
Zagreb 1993
黒鹿毛 アメリカ
|
Theatrical 1982
鹿毛 アイルランド |
Nureyev 1977 |
Northern Dancer |
Special |
ツリーオブノレッジ
Tree of Knowledge 1977 |
Sassafras |
Sensibility |
Sophonisbe 1981
黒鹿毛 アイルランド |
ウォロー
Wollow 1973 |
Wolver Hollow |
Wichuraiana |
Southern Seas 1975 |
ジムフレンチ |
Schonbrunn |
母
イセノトウショウ 1993
鹿毛 北海道門別町
|
トウショウボーイ 1973
鹿毛 北海道静内町 |
テスコボーイ
Tesco Boy 1963 |
Princely Gift |
Suncourt |
ソシアルバターフライ
Social Butterfly 1957 |
Your Host |
Wisteria |
マルミチーフ 1987
鹿毛 北海道門別町 |
ビッグディザイアー 1978 |
トライバルチーフ |
クリアヤメ |
トキワアイゼン 1981 |
キタノカチドキ |
トキノマサト F-No.5-d |