帯広競馬場・鈴木厩舎/ 鈴木 邦哉 調教師 |
馬が好きで、競馬の世界に入ろうと思いました。 生まれは岩手でしたが、北海道にばんえい競馬があると知り、17歳の時に単独で来ました。 その後、厩務員から騎手になり、33歳の時に調教師試験に合格し、調教師になりました。
ばんえい競馬の大きい馬がソリを曳いて競争するという迫力あるレースに魅力を感じていました。
また、17歳の時に減量が難しくなっていたということもあり、ばんえい競馬で騎手を目指すことにしました。
ばん馬は馬体が大きいので、食事の量も多く、それに伴って排泄物も多く、馬房が汚れやすいので、馬房を清潔に保つことが大変です。
あとは、飼い食いの悪い馬に何とか飼い葉を食べされるようにすることですかね。食べない馬には、食事の回数を増やし、1回の量を少なくすることで、何とか食べてもらうように調整しています。逆に飼い食いのいい馬は、その分調教も積めるので、管理は楽ですね。 ちなみに、飼い葉は一般的なばん馬で一日4食、朝、昼、晩と寝る前に与えています。
ばん馬はサラブレッドと異なり、骨折や屈腱炎などはほとんどありません。ばん馬の病気で一番多いのが疝痛で、その次は、蹄の病気で蹄葉炎や裂蹄などです。
四肢のバランスや身体のバランスがいい馬、歩くときに腰を沈めて、踏み込みが深い馬は、力がある傾向にあります。 また、ばんえい競馬で最大のヤマ場となる第二障害を上がる時には、トモ脚や前脚の使い方も重要になってきます。
あとは、コースはダートを走るので、砂の上で走るかどうかという適正も重要になってきますね。例えば堅いところの上なら1000キロのソリを曳くことができる馬でも、 砂の上では、200キロしか曳くことができない馬もいるので。
ばん馬の調教は、ソリを曳かせる「ずり運動」と呼ばれる調教を行っています。ずり運動は、馬の能力に合わせて、重さを調整しながら行います。 新馬では350〜400キロくらいから行い、その重さに耐えられるようになったら、50キロ、100キロと錘(おもり)を足していきます。 オープンクラスでは、レースで1000キロの負担重量のレースがあるので、調教でも900キロ以上を積み、レースでも耐えられるスタミナをつけます。
追い切りは、本番と同じコースがあり、そこで騎手に騎乗してもらって行います。
なお、夏時期は夏負けする馬がいるため、一番馬を作るのが難しいですね。夏はばん馬でも、牝馬のほうが力を発揮する傾向にあります。
競馬は血統のスポーツと言われていますが、ばん馬においても、ある程度重要になってきます。値段は、割と血統のいい馬で1頭50〜60万で、150万くらいで最高クラスです。 ただ、サラブレッド同様、高いからといって走るとは限らず、逆に血統は地味でも、高い能力を持っていることがあります。
ばん馬の購入は、庭先取引が主流で、生産頭数が約2000頭、競走馬としてデビューするのは250頭くらいです。